PAD MAN

2018年製作/137分/G/インド
原題:Padman
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

監督 :R・バールキ

Cast

Credited cast:
Akshay Kumar Akshay Kumar・アクシャイ・クマール Lakshmikant Chauhan・ラクシュミ
Radhika Apte Radhika Apte・ラーディカー・アープテー Gayatri・ガヤトリ
Sonam Kapoor Sonam Kapoor・ソーナム・カプール Pari Walia・パリー

コエボンラジオをお聴きの皆さん、こんばんは。

オノユリの映画の話をしましょうよ のお時間です。

沖縄のみなさん、このラジオの収録は9月4日金曜日なのですが、台風の予報を聞いてとても心配をしております。どうか、みなさまご無事で、みなさまの生活に支障がありませんように。心から祈り、寄り添っております。みなさまが安心して朝を迎え、笑顔で過ごしていらっしゃいますように。

まず、本日の映画のお話に入る前に、みなさまにお願いがあります。先週のコエボンラジオの放送後、この番組、「オノユリの映画の話をしましょうよ」で紹介する映画のリクエストを募集したところ、いただいたメッセージより、わたくし、オノユリがご紹介したい映画と出会いました。ところが、幾ら探しても、全然見つかりません・・・。そこで、もしDVDやBlu-rayをお持ちの方がいらっしゃれば、是非お借りしたいのです!映画タイトルは『JUST A GIGOLO』1978年製作/100分/西ドイツ、配給:テレキャスジャパン、デビッド・ヘミングス監督、出演はマレーネ・ディートリッヒとデビッド・ボウイ。情報があれば、コエボンラジオ「オノユリの映画の話をしましょうよ」を提供しております、一般社団法人日本タレント協会まで、メールでお知らせください。メールアドレスは、jca@jat.or.jp 、件名は「オノユリの映画の話をしましょうよ」で、よろしくお願いいたします。

では、本日の映画のお話をはじめましょう。

PAD MAN 5億人の女性を救った男

2018年製作/137分/G/インド
原題:Padman、配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント、監督 :R・バールキ

先日サッサ・ブーレグレーン作の「北欧に学ぶ小さなフェミニストの本」を読み、自分の価値観が凝り固まっていることを驚きとともに知りました。

G8 ジェノバ・サミットの写真を見ても、何も感じなかったのです。その写真に写っていたのは、世界の権力者8名。日本の小泉純一郎首相、英国のトニー・ブレア首相、アメリカのジョージ・W・ブッシュ大統領、フランスのジャック・シラク大統領、イタリアのシルヴィオ・べルル・スコーニ首相、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領、カナダのジャン・クレティエン首相、ドイツのゲアハルト・シュレーダー首相ら、2001年当時のG8の首脳です。この写真は、全員スーツで、アジア人はたった1人(小泉首相)で、あとは白人。そして、全員が男性です。わたしは、その事にすら何も気付かない、感じなかったのです。本の主人公である10歳の女の子が指摘するまで、違和感のない自分に驚愕しました。全ては、子供の頃から<当たり前>で、考えることすら不要なものが、わたしの中にはあるのです。

R・バールキ監督「PAD MAN」は、実話を基にしたお話です。

STORY

インドの小さな村で新婚生活を送る主人公の男ラクシュミは、貧しくて生理用ナプキンが買えずに不衛生な布で処置をしている最愛の妻を救うため、清潔で安価なナプキンを手作りすることを思いつく。研究とリサーチに日々明け暮れるラクシュミの行動は、村の人々から奇異な目で見られ、数々の誤解や困難に直面し、ついには村を離れるまでの事態に…。それでも諦めることのなかったラクシュミは、彼の熱意に賛同した女性パリーとの出会いと協力もあり、ついに低コストでナプキンを大量生産できる機械を発明する。農村の女性たちにナプキンだけでなく、製造機を使ってナプキンを作る仕事の機会をも与えようと奮闘する最中、彼の運命を大きく変える出来事が訪れる――。(パッドマン:https://bd-dvd.sonypictures.jp/padman/)

物語は、主人公の男性ラクシュミの結婚式、でろでろに甘ーい新婚生活から始まります。手先が器用で作業場で働く誠実な主人公は愛する新妻が料理をしながら涙を流している事に気づき、道ばたで売っているおもちゃを改造して玉ねぎちょっぷちょっぷマシーンを作り、街行く女性が髪にさしている花に気付き、同じ花ではなく誰も身に付けていない美しい花を彼女のために探して摘み、贈ります。自分が自転車を漕ぐ度に膝が彼女にあたってしまう事に気付き、彼女も座れるように自転車を改造します。ラクシュミは、愛する妻の為になんでもしてあげたいのです。もう、ロマンティックが溢れるシーンの連続なのです。なんて幸せな新婚夫婦でしょう!

そして、鑑賞しているわたしに衝撃が走ります。映画の設定は2001年、日本では平成13年、かわいい新妻ガヤトリが家族とお祝いごとの最中に突然外に出て、その後5日間家の中に入れないと言うのです。絶句でしょ?え・・・実話?外で寝るの?外出も出来ずに隔離・・・嘘でしょ?

その時に初めてラクシュミは生理の実態を知るのです。家族女性だらけなのに、愛する人と暮らしはじめて、初めて違和感に気付くのですね。

インドの公的な数字では、ナプキンの使用率が10%程度。様々な場所で、この数字を見せると、よく怒られる。インドは高層ビルも建ち、ロケットも打ち上げられている。そんな力のある国で、なぜこんな状況なんだと。7人のうち1人以下しかナプキンが使えない

ナプキンの代わりに、洗濯物の下で隠して干した生乾きのぼろ布で月経の出血をしのぐ。(HUFFPOST「インドの「パッドマン」が映画化。生理のタブーに苦しむ妻を救うため、社会を変えた男性に話を聞いた」: https://www.huffingtonpost.jp/2018/12/05/india-padman_a_23610008/

こういった、日本とはまるっきり異なる習慣や考え方を映画で見知るのは本当に映画の良い点ですよね。ここから、ラクシュミの愛の力と、発明意欲が爆発します。ここからの道のりの長い事・・・。インドの首都、デリーのような都会ならまだしも、小さな村なのでとても保守的な村人たちに一切理解されず、結婚してから頭がおかしくなってしまった、なんて言われてしまいます。ここらへんで、言葉の力、と言うべきか、翻訳の力にも驚かされました。「女の股の間になぜそんなに興味があるの?」泣きながら旦那様を説得する奥様、ガヤトリ。言葉の威力の強さ・・・凄くないですか?

凄くロマンティックで、愛に溢れている行動が、どんどん奇行と思われて追い詰められて行く様は、日本人のわたしからすると、口惜しくてもどかしくてたまりませんでした。

特に、R・バールキ監督映画「PAD MAN」の中で描かれているインドの生理に対する実態は本当に不衛生で、若い女性が命を落とすほど危険なのです。生理用品のナプキンは、衛生用品のため、怪我をした時救急用としても使えます。切り傷一つでも、細菌だらけの布などをあてて手当てすれば、破傷風菌が身体の中に入り、感染症にかかることと同じことです。<穢れ>としてタブーとして扱われ、必要な知識を与えられず、<当たり前>として生活を続けること。この<当たり前>の壁を取り払う事の難しさは、つい最近自分のガチガチに凝り固まった価値観に気付いたわたしには、痛いほど良く伝わりました。

ラクシュミは、自分自身が生理を体験すべく、自分で作った生理用品と動物の血液を使用し、ポンプを使って日常で血液が出る生活を送ってみます。そして、映画のモデルとなったムルガナンダル氏は言います。

その時に、秘密を一つ知りました。神様がつくった地上で一番強い強い存在は、象でも虎でもなく、女性なんだと。だからこそ、僕は女性たちの役に立つために絶対にギブアップしてはいけないと、気持ちを持ち続けることができた」(HUFFPOST「インドの「パッドマン」が映画化。生理のタブーに苦しむ妻を救うため、社会を変えた男性に話を聞いた」: https://www.huffingtonpost.jp/2018/12/05/india-padman_a_23610008/

そして、ラクシュミの考え方は、インドの性差別をなくす方向へと進んでいきます。

もう、ここからはノンストップ最高のサクセスストーリーとなっていきます。インドだけに限らず、世界へ彼の発明品は飛び立っていき、小さな保守的な村で劣悪であった性差別や、立場の弱い女性の生活を変えていきます。

R・バールキ監督映画「PAD MAN」の主人公、ラクシュミは大学卒でも金持ちでもなく、ただ妻をとことん愛する、愛する妻の事だけを考え、5億人の女性を救い、モデルとなったムルガナンダル氏は2014年に米(アメリカ)タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれたほか、2016年にはインド政府から褒章(ほうしょう)パドマシュリも授与されました。

このR・バールキ監督映画「PAD MAN」のフェミニズムの精神には、心底心を打たれました。世界に存在する不公平を打ち破る力。人を愛する力。実は、問題というのは本当に身近にあって、<当たり前の価値観>の中に溢れているのです。

インドで初登場No.1のヒット作、R・バールキ監督映画「PAD MAN」、出来る限り多くの人に届いて欲しい映画です。

差別は、<当たり前の価値観>の中に存在することがあります。ぜひ、身近に感じてみてください。

 

最後に、もう一度ご案内させてください。みなさまへのお願いがあります。先週のコエボンラジオの放送後、この番組、「オノユリの映画の話をしましょうよ」で紹介する映画のリクエストを募集したところ、いただいたメッセージより、わたくし、オノユリがご紹介したい映画と出会いました。ところが、幾ら探しても、全然見つかりません・・・。そこで、もしDVDやBlu-rayをお持ちの方がいらっしゃれば、是非お借りしたいのです!映画タイトルは『JUST A GIGOLO』1978年製作/100分/西ドイツ、配給:テレキャスジャパン、デビッド・ヘミングス監督、出演はマレーネ・ディートリッヒとデビッド・ボウイ。情報があれば、コエボンラジオ「オノユリの映画の話をしましょうよ」を提供しております、一般社団法人日本タレント協会まで、メールでお知らせください。メールアドレスは、jca@jat.or.jp 、件名は「オノユリの映画の話をしましょうよ」で、よろしくお願いいたします。

みなさまの明日が、輝いていますように。

また来週、映画の話をしましょうね、オノユリでした。

ハナ 奇跡の46日間

2012年製作/127分/韓国
原題:Korea
監督:ムン・ヒョンソン Hyeon-seong Moon

ハナ 奇跡の46日間

Cast

Credited cast:
Ji-Won Ha ハ・ジウォン Ji-Won Ha ヒョン・ジョンファ Hyun Jung Hwa
Doona Bae ぺ・ドゥナ Doona Bae リ・プニ Li Bun Hui

Multifunctional FILMANIA

コエボンラジオをお聴きの皆さんこんばんは。「オノユリの映画の話をしましょうよ」のお時間です。とうとう鑑賞しました!本日お話しするのは、韓国映画 ムン・ヒョンソン監督の『ハナ 奇跡の46日間』です。うーん、韓国映画の邦画タイトルって、なーーんか気になるんですよね。わたしは、韓国語はからっきしなのですが、いつも映画のタイトルで参考にさせてもらうのは、英語のタイトルです。英語のタイトルは、オリジナルに忠実なものが多いように思うんですよね。英語のタイトルは原題と同じタイトルでしたので、そちらもご紹介致します。『KOREA』です。

映画って、勉強になりますし、知識になりますし、発見もあります。また、映画から題材を訴えかけ、人々に問題意識を投げかけ、法律が制定されるようなケースもあります。しかし、そもそもは映画は娯楽ですよね?わたしの場合は、取り組んでいるお芝居や役の参考に映画作品を鑑賞することが多いです。しかし、ラジオの為に、何か時代背景にそぐうものを、また、ゲストを迎えるにあたって1ヶ月単位で最終的に核になる作品をご紹介するための準備として幅広くジャンルをご紹介していくように練ったり、と計算しながら映画を選択することも多いです。そして、圧倒的に多いのは、ただ単にエンターテイメントとして観たいと思った作品を鑑賞する。これに限ります。

さて、本日ご紹介するムン・ヒョンソン監督の『ハナ 奇跡の46日間』。こちらを鑑賞するまでに、実話を元にしていること、2時間を超える作品である事、鑑賞する側としてもちょっと身構えるんですよね。・・・こんな心持で、わたしはこの映画を鑑賞して失礼に値しないだろうか!!等、考えてしまって。あとは、120%作品を楽しむのに万全な状態であるかどうか・・・は結構考えるところです。そして、満を持してムン・ヒョンソン監督の『ハナ 奇跡の46日間』に取り掛かりました。

もう、ベラボーにブラボーーーな映画なのでね、是非みなさまにも触れていただけたら良いなと思います。

Story

世界卓球選手権で韓国と北朝鮮が結成した史上初の南北統一チームの実話を、ハ・ジウォン& ペ・ドゥナ共演で映画化。1991年、韓国ではスター選手ヒョン・ジョンファの活躍で卓球ブームが巻き起こっていたが、強豪・中国を倒すことができずにいた。そんな折、日本で開催される世界選手権を前に、韓国と北朝鮮による統一チーム「コリア」が結成される。しかし、選手たちはライフスタイルや練習方法の違いにいがみ合うばかりで……。

(映画.com https://eiga.com/movie/77792/)

ムン・ヒョンソン監督の『ハナ 奇跡の46日間』鑑賞しながら、キャスティングの魅力が素晴らしいなぁと思いました。日本で開催される世界選手権、韓国人、北朝鮮人、中国人、日本人(あいうえお順)なら、そのキャスティングに色々思うところがあるのではないかな?と思います。ちなみに、わたし的に客観的に解説しますと、

中国人は中国人らしく、日本人は凡庸で、北朝鮮は個性的、韓国人は美人 (順序意図的に不同)というキャスティングです。

面白いでしょ?そういった雰囲気をメイクでも醸し出していると思います。

他の国々のアジアに馴染みのない方にどの様に映るか、気になります。これを伝えるのは難しいと思うんですよね。

わたし、北朝鮮のリ・プニ役のぺ・ドゥナさんが好きなんですよね。個性的なルックスと手足が長くお顔の小さいお人形さんのような体型で、ハリウッド作品でも独特の雰囲気でキーポイントで登場するのを見かけるとときめいてしまいます。韓国映画でお見かけするときは、また違った魅力がみえて好きなんです。ポン・ジュノ監督のパニック・エンタテインメント大作『グエムル・漢江(はんがん)の怪物』ではソン・ガンホさんの娘役で、映画は最高に面白いし、大好きなソン・ガンホさんとぺ・ドゥナさんの共演も最高で、どハマりした映画の一つです。

ぺ・ドゥナさん初め、北朝鮮チーム、監督も含め、素晴らしかったです。そして、もちろん韓国人チームも。

ここで、ムン・ヒョンソン監督の『ハナ 奇跡の46日間』で描かれている、1991年、日本で開催された卓球の世界選手権で掲げられた統一旗、についての歴史的背景のお話もしましょう。

統一旗は、朝鮮半島の南北両国がスポーツを通じた交流を進める過程で誕生した。

朝鮮と同様の分断国家であるドイツが、1956年のコルチナ・ダンペッツオオリンピックから東西ドイツの統一選手団を派遣し始めた。これに触発された両国は1964年の東京オリンピックにおいて単一チームを構成するため、1963年にスイスのローザンヌで南北体育会談を開催し、統一選手団の団旗と団歌の制定を目指して議論した。しかし、最終的には単一チームの構成につながらなかった。その後、両国は第35回世界卓球選手権(1979年)、ロサンゼルスオリンピック(1984年)、及びソウルオリンピック(1988年)の際にも、南北両国は単一チーム構成のための南北体育会談を開催したが、成果はなかった。

このような流れを受け、南北両国は1990年の北京アジア競技大会で単一チームを構成すべく、1989年に再び南北体育会談を開いたが、その際に団旗制定問題が議論となった。そのため、南北両国は折衷(せっちゅう)を繰り返した末、白地の中央に空色の朝鮮半島地図を描いた旗を正式な単一旗として制定することを決定し、「朝鮮半島旗(統一旗)」を応援旗として使うこととなった。統一旗は定まったものの、北京アジア大会では、単一チームの構成には失敗した。

1991年に日本・千葉県で開催された第41回世界卓球選手権において、国際卓球連盟会長(当時)・荻村伊智朗(おぎむらいちろう)の働きかけで韓国と北朝鮮の代表が「統一コリア」チームを結成したため、その際に「コリア」代表旗として初めて公式に掲揚された。その後は、南北関係の影響から、統一旗は公式に掲揚される機会に恵まれなかった。

しかし、2000年6月の南北首脳会談で「南北共同宣言」が発表されたのを契機とし、同年9月のシドニーオリンピック開会式で韓国と北朝鮮の選手団が共同入場を行なった際に、再び掲揚されて国際的な注目を集めた。以来、統一旗は、スポーツ大会などで韓国・北朝鮮両代表団が「コリア」チームとして共同活動を行う際に掲げられる他、両代表を応援する際などにも頻繁に使用されるようになっている。(ウィキペディア https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%B1%E4%B8%80%E6%97%97)

ウィキペディアに記載されていたお話ですが、これだけで映画になりそうですよね。そして、こういった背景があるからこそ、ムン・ヒョンソン監督の『ハナ 奇跡の46日間』に宿る当時の方々の記憶が伝わってくる様に感じます。

更にこの映画、ムン・ヒョンソン監督の『ハナ 奇跡の46日間』を余すところなく楽しんでもらいたいので、もし出来れば、鑑賞前に・・・

韓国と北朝鮮の関係性を知ってから見たほうが一人一人の関係性が身に染みるので、まずは韓国ドラマ『愛の不時着』を観て欲しいです。

そして、一息ついて、少し熱が治った頃に、『ハナ 奇跡の46日間』を投入。はい、最高の流れですね。

 

でもね、ご安心ください。何も知らなくても、もちろん卓球の事(ルール等)分からなくてもついつい興奮して決まるたびに片腕上げて「やったぜー」ポーズを取っていたのは、他ではない、わたくしオノユリです。こんなわたくしでもエンディングはしゃくり上げて泣いていました。

ムン・ヒョンソン監督の『ハナ 奇跡の46日間』、心の中では、「統一卓球物語」と呼ばせていただいておりました。

是非、ご鑑賞ください。

映画は最高!です。

オノユリでした

新聞記者

2019年製作/113分/G/日本
配給:スターサンズ、イオンエンターテイメント

監督:藤井道人(ふじいみちひと)

原案:望月衣塑子(もちづきいそこ) プロデューサー:河村光庸(かわむらみつのぶ)

今晩お話しするのは、藤井道人監督、望月衣塑子(もちづきいそこ)原案 、配給・製作会社スターサンズの設立者でもある河村光庸(かわむらみつのぶ)プロデューサー の作品。映画『新聞記者』です。2019年、かなりSNSを賑わせ、そして日本アカデミー賞でさらに注目を浴びた作品です。

Introduction

「怪しい彼女」などで知られる韓国の演技派女優シム・ウンギョンと松坂桃李がダブル主演を務める社会派サスペンス。東京新聞記者・望月衣塑子の同名ベストセラーを原案に、若き新聞記者とエリート官僚の対峙と葛藤をオリジナルストーリーで描き出す。東都新聞の記者・吉岡エリカのもとに、医療系大学新設計画に関する極秘情報が匿名FAXで届く。日本人の父と韓国人の母のもとアメリカで育ち、強い思いを秘めて日本の新聞社で働く彼女は、真相を突き止めるべく調査に乗り出す。一方、内閣情報調査室の官僚・杉原は、現政権に不都合なニュースをコントロールする任務に葛藤していた。そんなある日、杉原は尊敬するかつての上司・神崎と久々に再会するが、神崎はその数日後に投身自殺をしてしまう。真実に迫ろうともがく吉岡と、政権の暗部に気づき選択を迫られる杉原。そんな2人の人生が交差し、ある事実が明らかになる。監督は「デイアンドナイト」の藤井道人。第43回日本アカデミー賞では最優秀作品賞、最優秀主演男優賞(松坂桃李)、最優秀主演女優賞(シム・ウンギョン)の3冠に輝いた。(映画.com https://eiga.com/movie/90346/)

Cast

Credited cast:
Eun-kyung Shim シム・ウンギュン(Eun-kyung Shim) 吉岡エリカ
Tôri Matsuzaka 松坂 桃李 杉原拓海
Tsubasa Honda 本田 翼 杉原奈津美
Amane Okayama 岡山 天音 倉持大輔

オノユリの映画の話をしましょうよ

今回、『新聞記者』を鑑賞して、SNSで知人(年代的には少し上の方が多かったかもしれません)がこぞって紹介していたことを思い返していました。

そして、わたし自身色々と思う事があったので、今回のテーマといたしました。

まず、出演者の方々一部の方々だけになってしまって申し訳ないのですが、シム・ウンギュンさん、松坂桃李さん、本田翼さん、岡山天音さん ら、みなさまこの映画に出演するにあたって、リスクもあったのではないかな?と思うのです。なぜなら、藤井道人監督の『新聞記者』を観賞いただければ分かる事ですが、これはフィクションではありますが、今の日本に存在する事件ですよね?むしろ、はっきり言ってしまえば・・・ジャーナリストの伊藤詩織さん自身が、『画面に映っているのは私』と映画のトークイベントで言及されているシーンがこの映画の中にあります。大きなテーマの一つです。

■ 新聞記者は日本に必要なのか?

新聞に記載されている事、雑誌でもニュースでも同じですが、それらは真実を伝えているのでしょうか?

わたしは以前、2カ所で同じ内容の話を聞いた事があります。

  1. 某国の手練れのスパイは、その日発行される新聞を全て線を引きながら読む。そして全ての誌面を照らし合わせて、何が描かれていなかったかについて読んでいる。
  2. ある国の駐日大使が、勤務態度の悪い職員を辞めさせるのに、推薦状を書いてくれたら辞めるという流れで話が丸く収まった。大使は「その場にいると、明るく皆を和ませ、、、云々」と推薦状を書き、秘書に渡した。「随分と良い内容で書いたものですね?」と秘書が尋ねたところ、「君、この中に、いつもオンタイムで必要な場所にいる、って書いてあるかい?的確な判断をして物事を解決するとは?そんな事は何一つ書いていないんだよ」

このお話はどちらも、何が描かれていないか?について書かれているお話です。

正直、藤井道人監督の『新聞記者』を観賞した時に、「これは、虚構(映画)ではなく現実じゃないか」そう思いました。トランプ大統領のお陰で、世間一般的に広まった言葉<フェイクニュース>トランプ大統領が乱用したお陰で、最早アメリカからやってきたニュースの何が本物なのかすら分からない事態に陥っていたと思います。

日本だけの話ではないですが、わたしたち国民は、何を信じるか信じないか、雑誌やニュースや 新聞記者 に委ねてはいけなくて、自分で見極める必要があるのです。

藤井道人監督の『新聞記者』の中に印象的な言葉が幾つもある中で、2つご紹介いたします。

『嘘か本当かを決めるのはお前じゃない、国民だ』

『この国の民主主義は形だけでいいんだ』

どちらのセリフも恐ろしいセリフだなぁ・・・と言葉のもつ力に震えました。

さて、新聞記者 は日本に必要なのでしょうか?

シム・ウンギュン演じる吉岡エリカの存在を信じるのであれば、居てくれなきゃ困ります。

シム・ウンギュンさん

2014年に主演した韓国映画『怪しい彼女』が観客動員数860万人を超えるヒットとなり、多数の賞を受賞、作品自体も日本を含む計8言語でリメイクされるという世界初の記録を打ち立てた女優さんです。

「オノユリの映画の話をしましょうよ」でもご紹介した、新感染の前哨戦アニメ映画『ソウル・ステーション/パンデミック』(2016年)の主演の声優を努められたり、『サイコキネシス -念力-』(2018年) の主演を努めたり、『サニー 永遠の仲間たち』(2011年) – 高校時代のイム・ナミ 役を演じたり、韓国映画好きのわたしもかなり鑑賞させていただいている女優さんなのですが、全然雰囲気違いますね・・・。特に、『サニー』と『怪しい彼女』のキャラクターは何となく日本テレビの水卜 麻美(みうら あさみ)アナウンサーと似ていて、朗らかな印象があったので、勝手にシム・ウンギュンさんにその印象を重ね合わせていました!藤井道人監督の『新聞記者』の吉岡エリカ役、違いますね〜。あーーーもう、だから役者ってお仕事は本当に最高なんですよね。。

冒頭にお話ししました、

藤井道人監督『新聞記者』を鑑賞して、SNSで知人(年代的には少し上の方が多かったかもしれません)がこぞって紹介していたことを思い返していた件です。

わたしの知人は、女優・監督・プロデューサーなどをはじめ映画業界やエンターテイメント業界に携わる方が多いです。そう言った方々がなぜこぞって藤井道人監督『新聞記者』をSNSを使用し紹介していたのか、についてですが、なぜなら、素晴らしい映画だからです。

ここまで現実に切り込んで、現実世界と映画の世界がリンクしつつ、面白いからです。一時期、映画館でやたら青春ラブストーリーばかりの時がありませんでしたか?売れっ子でTVで見かけると「また出てる〜」と思いつつ「かっこいいなぁ&かわいいなぁ」とときめかせてくれるイケメンやアイドル、もしくはその予備軍がキラキラ輝く物語。理由は、鑑賞者がその映画を求めているからです。その時映画館へ足を運んでいた人の多くが恐らく同世代だったのです。

鑑賞者が求めれば、映画はつくられ、素晴らしい映画なら、興行的に成功すべきなのです。

こういう映画を、撮りたい、関わりたい、そういう人たちが、沢山いるのです。

第43回日本アカデミー賞で最優秀作品賞、最優秀主演男優賞(松坂桃李)、最優秀主演女優賞(シム・ウンギョン)の3冠に輝いた、藤井道人監督の『新聞記者』、ぜひご鑑賞下さい。

映画って、本当に奥が深いですね。

また来週、映画の話をしましょうね、オノユリでした。