コエボンラジオをお聴きの皆さんこんばんは。女優オノユリの映画の話をしましょうよのお時間です。6月5日、6月最初の土曜日ですね。

先日、面白いお仕事をさせていただきました。日本の企業さんではないのですが、避難訓練のお手伝いで、かなり大掛かりにやるのです。リハーサルなどはなかったのですが、壮大な物語があって、そこに何も知らない勤務している皆さまが巻き込まれていき、その時どうする??みたいな。ラジオでお話させていただく上で、念の為全く違う企業で仮の物語としてイメージしていただきやすいように説明しますね。東京、丸の内にある外資系の銀行SquareBank、日本支店。熱い夏の日。湿度も高い。日本ではオリンピック真っ只中。コロナ禍のオリンピックとはいえ、各国のアスリートはもちろんVIPも日本に来日中。当Square Bankも本国よりも資金を費やし一流建築家により建設された建造物となっており、世界中のVIPの商談の場としても隠れて使用されている世界に誇る支店となっている。現在は日常業務だけではなくアスリートやVIPの訪問などにも対応し、目まぐるしい時間を過ごしていた。(ここまでが、設定となります。そしてここから、Square Bankの避難訓練がはじまります )午前11時、突然の大地震。Square Bankの皆さんは通常の決まっている避難スペースへ避難します。そして、通常どのように対処すべきかのマニュアルに沿います。人数が揃っているのか等確認されている様子のみなさま。その様子を見守りつつ、Square Bank職員ではない仕掛け人が仮のニュースを流します。停電・電話の混線・火事の発生。順々に戸惑いながらも対応していく皆さま。そこに大きめの余震も続きます。ようやく電気がついたら今度は数名の携帯に Square Bankに訪問予定の本国の皇太子が乗車している車と連絡がつかないとの情報が入ります。テレビから流れるニュースは、一部地域の津波の可能性。高速道路で史上最悪の玉突き事故が発生。SNSにも地震情報がアップデートされ、皇太子のInstagramに地震発生1時間前の様子が…!交錯する情報に振り回されるSquare Bank職員の皆様。英語と日本語とそれ以外の言語が乱れ飛びます。そして待ちわびた電話回線の復旧。鳴り響く電話の数!訪日中のVIP関連の電話が多く、簡単に切れません。そして、その時鳴り響く巨大な轟音…!まさか、こんな日にありえない事が起きました。銀行強盗です。覆面を被り手にした武器を振り回し、震災が発生し自動的に固く閉ざされていた銀行のシャッターを今か今かと開けようとしている強盗は、なぜか銀行内にいます。実はSquare Bankの建築的構造と建築中の近隣ビルを逆手に取り、空中庭園から侵入したのでした。パニックを起こしそうなのにも関わらずそこは流石に銀行。Square Bankは地震対策よりも銀行強盗対策のほうが何百通りも練られた対応方法があり、見事に強盗を生け捕りにします。しかし、混乱が続く中、セキュリティー会社や警察の到着が遅れることも考えられるため一時的に場所は違えど同じ建造物の中で共存状態に。気味は悪いもののそこにばかり気を取られていられません。まだまだ鳴り響く電話!お客様や関係者様のご不安に対処しつつ、あまり長電話にならないようにがんばりますが、やはり通話が一つ終わると心がガクっと疲れます。そして切った後にすぐに鳴り出す電話。もう、何件の電話に対応したでしょう?他の行員がどんな対応をしているかもわからぬまま電話の対応を続けた頃、鳴り響いた笛の音と声『終了ーーーー!!これにて避難訓練を終了とします。この後はzoomシステムを使用し、本日の振り返りを行います』燃え・・・尽きちまったぜ・・・。わたしはご依頼を受けて数々の仕掛けの中で、色々なシチュエーションの人を演じさせていただきました(笑)しっかりしたシチュエーション設定が全ての役柄にあり、結構前日は緊張で色々なことが手につかなくて(笑)しかも相手は何も知らない方々ですから。ドキドキしちゃって、前日は食べすぎ、当日は何も食べれず、ただただコーヒーを啜って一点を見つめていました。それにしても、勉強になりました。何ていうか、決まっていないことの重要性を知りました。訓練は、決まったことを行うイメージでしたが、そうではなくて、実際本当に予期せず予期しない出来事が起こったときにどうするか?それは、わたしが感じたのは人間の余裕が必要なんだなと言う事でした。色々決めていない事で発生する余裕。実際に起ったら、考える。本来わたしたちはそうして生きているはずなんですが、社会に出ると何となくルールがたくさんあって、火事が起きたら、こうする。地震が起きたら、こうする。そうした決まったルールに従うのももちろん重要で、更に考えて正解がないことに対処していく、ということが実生活では大切だと、学んだわけです。パニックを起こさないようにするには、本来の自分のキャパシティを大きくすることかもしれませんね。どうやったらいいのか、わかりませんが・・・。さぁ、今のお話はわたくしオノユリによる架空のお話ですが、本日の映画のお話は、実際に起きた信じられない事件のお話です。

ホテル・ムンバイ

2018年製作/123分/R15+/オーストラリア・アメリカ・インド合作
監督:アンソニー・マラス
原題:Hotel Mumbai

Cast

Dev Patel

Dev Pate: Arjun

Armie Hammer

Armie Hammer: David

Nazanin Boniadi

Nazanin Boniadi: Zahra

Anupam Kher

Anupam Kher: Oberoi

Amandeep Singh

Amandeep Singh: Imran

Suhail Nayyar

Suhail Nayyar: Abdullah

Amritpal Singh

Amritpal Singh: Ismail (as Amriptal Singh)

Alex Pinder

Alex Pinder: Butler Jamon

Vipin Sharma

Vipin Sharma: Dilip

Tilda Cobham-Hervey

Tilda Cobham-Hervey: Sally

Introduction

Story

インドの巨大都市ムンバイに、臨月の妻と幼い娘と暮らす青年アルジュン(デヴ・パテル)は、街の象徴でもある五つ星ホテルの従業員であることに誇りを感じていた。この日も、いつも通りのホテルの光景だったが、武装したテロリスト集団がホテルを占拠し、“楽園”は一瞬にして崩壊する。500人以上の宿泊客と従業員を、無慈悲な銃弾が襲う中、テロ殲滅部隊が到着するまでに数日かかるという絶望的な報せが届く。アルジュンら従業員は、「ここが私の家です」とホテルに残り、宿泊客を救う道を選ぶ。一方、赤ん坊を部屋に取り残されたアメリカ人建築家デヴィッド(アーミー・ハマー)は、ある命がけの決断をするのだが──。

ホテル・ムンバイ公式HP

FILMANIA・映画の話をしましょうよ

本日の映画は2008年に実際に起きた無差別テロを映画化した アンソニー・マラス監督『ホテル・ムンバイ』です。まず、ムンバイというのは、インドの首都がデリーで、その次に大きな都市です。色々な地名が出るとややこしいと思いますので、まずは東京だと思ってください。で、テロの標的となった場所の一つが今作で取り上げられています五つ星ホテル、ホテル・ムンバイ。日本で五つ星ホテルと呼ばれるホテルは6軒あります。その中で『ホテル・ムンバイ』に例えるなら、パレス・ホテル東京。皇居のすぐ脇にあるとても美しいホテルです。なんとなくイメージしていただけましたか?この美しいホテルで、では、ある夜突如同時多発テロが発生し、東京のもしくは日本の象徴のようなパレス・ホテルが、テロリストに占拠されたと想像してみてください。実際に「お客様は神様です」と心がけるインドの五つ星ホテルで起こったことです。アンソニー・マラス監督自身は、共同脚本のジョン・コリーと共にムンバイ襲撃事件を1年かけて徹底的に調査しました。テロの生存者、警察官、ホテルの宿泊客や従業員、犠牲となった人々の家族からも話を聞いて調査。さらに、テロの実行犯と首謀者の通話を傍受した録音記録を研究し、裁判記録や大量の新聞記事を読み、何百時間ものテレビ報道や生存者のインタビュー映像を観て調査。そして、事件に基づいた映画を撮るのです。なぜかと言うと、タージマハル・ホテル襲撃事件のニュースを聞いた当時、「500人以上もの人々が巻き込まれながら、32人しか死者が出なかったという奇跡に驚いた。しかも、犠牲者の半数は、宿泊客を守るために残った従業員だった。彼らの驚くほど勇敢で機転が利き、自らを犠牲にしようとした行動に心を動かされ、映画で伝えようと決心した」から、と振り返っています。映画にも登場する、世界中のVIPを顧客に持つインドの一流シェフであるヘマント・オベロイが、事件に基づいた映画と聞いて、初めはためらったそうなんです。これ、わたしも実は映画鑑賞後におもったことなんですが、これは映画化にしていいものだったのだろうか?って。映画作品としてはものすごい引き込まれて、もう本当に恐ろしくて何度も何度もシーンを噛み締めてしまうようなすごい作品なのですが、美談ではないと思いましたし、笑顔になれないな、と正直おもいました。しかし、シェフ、ヘマント・オベロイの言葉がそうか、この映画の精神なんだ。と答えが出るお言葉でした。「マラスが伝えようとしていたメッセージは、私と同じだった。『我々は脅しには屈しない。恐怖に苛まれ(さいなまれ)ながら生きるなんてことはしない』ということをテロ組織に伝えるために、速やかに立ち直ることを目指した」オベロイと彼のチームは、襲撃事件の3週間後に、爆撃の傷跡が残るホテルの中で、レストランを再オープンされたそうです。

アンソニー・マラス監督『ホテル・ムンバイ』自体、本当に映画作品として面白いですし、良質な映画なのですが、本質としてこの映画は、テロとの戦いそのものなんです。このテロの首謀者は未だに捕まっていません。

今作の主演デヴ・パテル。彼はイギリス人ですが、出世作は言わずもがな映画デビュー作『スラムドッグ$ミリオネア』。この映画のダンスシーンのフィナーレはムンバイの駅で撮影され、その数か月後にその場所が襲撃されたそうです。デヴ・パテルにとって、並々ならぬ想いのこもった作品となり、役作りのためにタージへ行き、ドアマンのほとんどがシーク教徒だと知り、自分の演じるアルジュンをシーク教徒に設定したいとアンソニー・マラス監督持ちかけたそうです。この映画のテロはイスラーム過激派と見られる勢力で、彼らには彼らの教えがあるんですよね。彼ら以外は、人間とは思っていないんです。そしてこの映画の主人公たち、ホテルの従業員の口にする言葉が「お客様は神様です」。そしてお客様を守るために命を呈して行動するんです。その二つの方角の信念って、人間の持っている人間を形作るものとしては同じ部位なんじゃないかと思うと、なんともいたたまれなくて、作品の中で「お客様は神様です」と言うセリフ一つだけの、名もなきホテルマンの顔が克明に思い出されるんです。

アンソニー・マラス監督『ホテル・ムンバイ』でした。

点滅する希望

最近やたら デヴ・パテル の名前を連呼している気がします。先週お話しました6月14日と19日に新宿K’s Cinemaさんにて公開される「点滅する希望」。この作品に、デヴ・パテル 日本にもいらっしゃったんだ!と思われる方が主演されています。大山大さんが監督の「点滅する希望」ぜひ目撃してみてください。

いずれあなたが知る話

「点滅する希望」で監督を務められた大山大さんが主演のお一人を演じられています。2021年6月10日までクラウドファンディングサイトにて支援を募っている 古澤健(ふるさわたけし)監督、主演大山大さんと小原徳子(こはらのりこ)さんの「いずれあなたが知る話」今週でクラウドファンディングが終わってしまいます。主演の小原徳子(こはらのりこ)さんが脚本家デビューも果たしている、歪んだ愛情と行為がぶつかるノワールサスペンス。たくさんの困難を乗り越え、劇場公開のためにクラウドファンディングと言う選択を歩み始めた作品、ご支援いただければ幸いです。

では、本日はこの辺で。また来週映画の話をしましょうね。

オノユリでした。