パプリカ

2006年製作/90分/日本
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

監督:今敏(こんさとし)

原作:筒井康隆(つついやすたか)『時をかける少女』

企画:丸山正雄(まるやままさお)『この世界の片隅に』『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』『サマーウォーズ』『時をかける少女(2006)』

声優

パプリカ/千葉敦子 林原めぐみ『エヴァンゲリオン』綾波レイ

乾精次郎 江守徹

島寅太朗 堀勝之祐

時田浩作 古谷徹

粉川利美 大塚明夫

小山内守雄 山寺宏一

本日ご紹介するのは、2006年の日本のアニメーション映画作品『パプリカ』です。SNSでちらりと伝説の作品・・・と目にしてから気になっていたら巡り合いましたので。

あらすじ:

パプリカ/千葉敦子は、時田浩作の発明した夢を共有する装置DCミニを使用するサイコセラピスト。ある日、そのDCミニが研究所から盗まれてしまい、それを悪用して他人の夢に強制介入し、悪夢を見せ精神を崩壊させる事件が発生するようになる。敦子達は犯人の正体・目的、そして終わり無き悪夢から抜け出す方法を探る。

第63回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門へ正式出品される。また、第19回東京国際映画祭のanimecs TIFF 2006のオープニング上映作品ともなっている。

人間の気持ち悪いと思うボーダーラインが研究し尽されているのかなと思うほど、ことごとく、ボーダーラインのぎりぎりを「微か」にこえてきます。そう、微かに。登場する人物、好きなものだけを純粋に研究し続けている天才であり、無責任で子供と表現される時田浩作は、ゴミ箱のように食べ物を貪る、巨漢。その巨漢の有様が、エレベーターに詰まって降りられないほどの巨漢。人間の顔が肉に埋まっているかのように生々しく、目だけが純粋に輝いている巨漢で、登場した瞬間からぞくりとする。

また、誰が主人公なのかまだ良く判別がつかない中で登場する 島寅太郎 博士。後ろ姿は『攻殻機動隊』の荒巻大輔課長によく似ていて、なんだか馴染みのある雰囲気にほっとしたのも束の間、正面から対峙すると、眼鏡の奥の目のぎょろぎょろ感が今にも飛び出してきて噛み付いてきそうなほど。なになに、油断大敵でぞわぞわする。

冒頭に登場したパプリカと名乗る元気で人懐っこそうな女性が主人公かと思われたけれど、千葉敦子が登場すると、雰囲気が大人びて、少しキツそうで、全く異なる色調の女性で、話し方も異なるのだけれど・・・パプリカと同じ声で??? そして、千葉敦子の知的でクールな雰囲気、アニメーションとは言え、はっきり言って美人、爽快感のあるようなシュッとしたこの美人は、唯一の清涼飲料水のように感じる。

江守徹(えもりとおる)氏の演じる乾 精次郎(いぬい せいじろう)精神医療総合研究所の理事長、要するにこれらの登場人物の中で一番のお偉いさん、が登場すると、その色の白さや風貌にぞっとする。『X-MEN』シリーズのプロフェッサーXから安心感を抜いて病気がちにして、色白にした感じ。この理事長の周りには癒しのためなのか、やたらと植物が豊富にあり、その植物が生き生きとしていて、そこだけジブリの世界なのかとも思えてくる。そして、この理事長が言ってる事が割と現実的でわかりやすくて、ごもっともなのだ。

要するに、この物語、冒頭からぶっちぎりで訳がわからないのだ。頭をよぎった映画作品は、韓国映画 ジュンサング・キム監督の『ルシッドドリーム』、ジェニファーロペス 主演 ターセム・シン監督の『ザ・セル(2000)』、クリストファー・ノーラン監督・脚本・製作『インセプション(2010)』。どれも夢の中で解決を探る物語だが、今回紹介している『パプリカ』の恐ろしい点は、アニメーションというところにもあるかもしれない。実写映画なら、夢と現実の違いが分かりやすいが、すでに現実ではないアニメーションの中で現実と夢の区別を視聴者に委ねられても、答え難い。まず、大前提として、実写とは異なる世界の中の話なのだ。

物語はアニメーションの中の現実の世界と夢の世界と、人の夢と自分の夢が乱れて交錯し、とても複雑だが、メインの登場人物が少ない事に救われて物語を追いやすい。

そして、人の脳とはとても要領が良くて、冒頭で「気持ち悪い」と感じたものが気づけば肌に馴染んで、友人のような気さえしてくる。そして、「気持ち悪い」の定義がおそらく自分の中で変化している事にも気づきます。おそるべし『パプリカ』人間の思考能力も1時間半の間にコントロールしている・・・。

それにしても、『パプリカ』、14年前のこの作品、観ていただけると、もう目にしなくなった日本の家電、街角の電話、など列を成して出てきます。この作品、きっとどんどんどんどん観るものを虜にしてあの玉座に座らせにいきますね。

「おかけになった子供電話相談室は、ヨモツヒラサカ故障の影響で、午前7時63分から夢見る大渋滞です」

今の所、わたしの思考は夢見る大渋滞です。

Aquaman

2018年製作/143分/G/アメリカ
原題:Aquaman
配給:ワーナー・ブラザース映画

監督:ジェームズ・ワン

こんばんは。みなさんおうちで大暴れされてますか?今日は、作品を観ると大暴れしたくなってしまう、目も、心もワクワクが止まらなくなる映画、「アクアマン」をご紹介いたします。

「アクアマン」出来れば4XMDでも鑑賞したかったなぁ。もう、はちゃめちゃに楽しいだろうな・・・とよだれの垂れるおもいで鑑賞しました。本当に目が楽しい、美しい、そして海産物大好き、島国日本人にとっては、おさかなや甲殻類達が大活躍して、ちょっとした知り合いががんばっているような気持ちになっちゃいます。

あらすじ:

DCコミックス原作のヒーローで、「ジャスティス・リーグ」にも参戦したアクアマンを主役に描くアクション大作。海底に広がる巨大な帝国アトランティスを築いた海底人たちの王女を母に持ち、人間の血も引くアクアマンは、アーサー・カリーという名の人間として地上で育てられた。やがて、アトランティスが人類を征服しようと地上に攻め入り、アクアマンは、アトランティスとの戦いに身を投じていく。人気テレビシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」で知られるハワイ出身の俳優ジェイソン・モモアがタイトルロールのアクアマンを演じ、世界的大ヒットを記録した「ワイルド・スピード SKY MISSION」のジェームズ・ワン監督がメガホンをとった。共演にアンバー・ハード、ウィレム・デフォー、ニコール・キッドマンほか。

映画.com https://eiga.com/movie/83920/)

今作「アクアマン」鑑賞すると、その映像の美しさ、表現の細かさ、そして出演者の豪華さに度肝を抜かれます。相当にCGや編集担当は根を詰めたのではないでしょうか?海中の音声、髪一本一本の漂いが、一体1秒間に幾らかかるんだろう・・・なんて脳内を漂ってしまうほどです。そんなことを考える間なんて今作を観ていると海の藻屑と消えていきます。流石ハリウッド!わたしの大好きなエンターテイメント映画業界万歳!です。

「アクアマン」監督はジェームズ・ワン監督。マレーシア・クチン出身です。ジェームズ・ワン監督、実はみなさん恐らくご存知・・・今はそうでもないのかな?当時はスーパー話題になりました、2004年のサイコスリラー「ソウ」の監督です。ホラーが苦手なわたしも、その面白さに愕然とし、鑑賞までに中々勇気を持てなくて費やした時間を後悔した作品です。その他にホラー映画「アナベル 死霊人形の誕生」(2017)「死霊館 エンフィールド事件」(2016)などがあり、なんと2015年には「ワイルド・スピード SKY MISSION」を撮られています。頭の中、凄い人ですね。

そして、主演は「ゲーム・オブ・スローンズ」シリーズ、カール・ドロゴ役で鑑賞者を夢中にさせたジェイソン・モモア!強烈な個性!ハワイ州のホノルル生まれ、アイオワ州育ち、ハワイ州の先住民族、ドイツ系、アイルランド系、アメリカ州の先住民族の血をひくそうです。海が似合うのはハワイ出身だからでしょうか。

映画.comに掲載されていた、牛津厚信(うしづ・あつのぶ)氏の評論によりますと

劇中二つの世界の狭間に立つこのアクアマンの姿に、マレーシア生まれでオーストラリア育ちのワン監督、それにハワイ生まれでアイオワ州育ちのモモアも自分自身を大いに重ねていたのだとか。恐らくその心がうまく共振したのだろう(https://eiga.com/movie/83920/critic/)

とのこと。この作品、出演者はどう役づくりをされたのかな・・・?なんて考えていましたが、こんなバックグラウンドがあったんですね。どうりで、鑑賞者を惹きつけるはずです。

そして、バルコ役のウィリアム・デフォーは、未だにわたしの中では、愛するトビー・マグワイア版「スパイダーマン」(2002)の敵、グリーンゴブリン役なので、こんな風に登場されると、戸惑いを隠せなくなってしまう、「アクアマン」を教育するカッコいい役でした。

更に、こんなところでお見かけするとは思いもよらなかったのが、アトランナ役、主人公 アーサー・カリー/アクアマンの母親役、ニコール・キッドマン。素晴らしく美しく、スタイル良く、カッコイイ愛情いっぱいの役で、本当に意外でした。わたし、ニコール・キッドマン登場すると「意外!」っていつも言ってるんですけど、これはなんなんでしょうね?一体どういう役をする女優さんだと思っているのか、だんだん自分が疑問に思えてきました。

そして、もうひとかた。ん?これは誰・・・?と思ったのが、「声」で登場する方です。劇中に、なんだかとんでもない生物が出てきます。本当に心底思ったのが、「海、広い・・・」でした。アホみたいな感想ですが、本当にそう思ったのです。人間の想像力もきっとこの広い海ほど無限なんだろうなぁと思わされたこの生物、伝説の「カラセン」。この声聞いた瞬間に、ただもんじゃないの出て来た・・・と「映像」でも「声」でも体感しました。この「カラセン」役はジュリー・アンドリュース!!1964年の映画「メリー・ポピンズ」のメリー・ポピンズです。supercalifragiristicsexpiaridosias・・・幼少期に何度も観ました。ジュリー・アンドリュースの声だったなんて・・・流石の貫禄!

本日は、映画『アクアマン』贅沢に余すことなく存分にエンターテイメントにズブズブに浸かれる作品をご紹介しました。

ぜひ、お楽しみいただいて、海中ごっこを試してみてくださいね。

オノユリ

江戸川乱歩名作「お勢登場」&「人でなしの恋」

原作 江戸川乱歩

脚本・監督 岡本光徳

令和2年始まって3ヶ月経ちましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

春の始まりを感じますが、外の空気吸っていますか?家の中でお仕事をされている方も多いのでしょうか。

本日はネット環境さえあればどなたでも鑑賞可能な YouTube より、江戸川乱歩の名作「お勢登場」と「人でなしの恋」をご紹介いたします。こちらは約1時間で短編の2本立てとなっております。モノクロ映画です。衣装が突飛な感じもしますが、不思議とあまり気にならず物語に入り込める不思議な世界観の作品。個人的に江戸川乱歩作品を色々と読んでおりますが、乱歩の世界と考えると、衣装に対して突飛だとか違和感だとかを感じないのが、また江戸川乱歩の魅力でもあります。

さて今作まずは「お勢登場」から始まります。

原作のあらすじは(Wikipedia)

肺病に侵された格太郎は、子供の将来を案じ、書生と不倫する妻おせいと離縁することが出来なかった

ある日、いつものようにおせいが不倫相手の元へ出かけた後、格太郎は息子の正一とその友人達と遊んでやる。格太郎はかくれんぼを提案し、部屋の押し入れに隠れた。子供達が押し入れに近付くと、格太郎は押し入れの中にあった長持の中へと入る。

子供達が諦めた頃、格太郎は長持から出ようとするが、はずみで掛け金が落ちてしまい、長持の蓋が開かない。

格太郎が密閉された長持の中で苦しんでいる内に、おせいが帰ってくる・・・。

といったものなのですが、こちら岡本光徳監督の「お勢登場」は格太郎さんが子供とかくれんぼをするような人間ではなく、お勢を自分の”所有物”と呼び徹底して管理するようになってしまう人間なのです。恐らくそこには格太郎自身が肺病に侵され、寝たきりになり、自分の財産を使い見初めて一緒になったお勢やまだ幼い息子への思うようにいかない心と身体が彼の精神を歪めていってしまったのでは?と考えるに及ぶのですが、もちろん妻お勢が不貞へと揺らいでいく緩さにも彼が憤っていく原因があるのかもしれません。

鑑賞中に、一体いつの作品なのだろう・・・?とふと考えてしまいました。衣装は現代の物が混じっているような感じもするのに、なんだか時々とてつもなく古い作品のような印象も受けます。そして、正ちゃんがかわいい。バイオリンとピアノの調べもとてもいい。吉田 萬さんの演じる格太郎の見事な事!ぞくぞくして目が離せませんでした。30分と言う長さなので、あっという間に終わった印象を受けました。

そして2作目「人でなしの恋」

原作のあらすじ(Wikipedia)

京子夫人の回想で映画は幕を開ける。当時19歳だった彼女は、知人の紹介で門野という地元の名士の所へ嫁入りした。門野は憂いのある美青年で、京子を精一杯愛してくれる。最初は、門野の愛に有頂天になっていた京子だが、だんだんと彼の愛がまやかしであることに気づき始めた。そして、ある夜夫が倉の二階で女と密会していることを突き止めた彼女は、次の日女を不意打ちしようと白昼倉の中に乗り込んだ。しかし、何処を探しても女はいず、それどころか人が居た痕跡すらなかったのだ・・・。

といった物語ですが、こちらの映画では色男の 遠藤 巧磨さん演じる名探偵、明智小五郎が憂いのある美青年、北野圭祐さん演じる門野の友人として出てきます。そして、陽奈さん演じる京子夫人との対話から物語が始まります。

「人でなしの恋」も「お勢登場」と同じ 岡本光徳監督 の作品でモノクロです。どちらの映画にも共通する様に衣装や時代感、世界観、そして音楽に乱歩作品としてとても魅力的な要素が鏤められているのを感じます。冒頭から京子さんのお洒落なお帽子が素敵で・・・こちらの作品ではご婚礼の衣装を美しい新婚夫婦が身につけられているシーンがあるのですが、そこでもなんだか不思議さが滲み出ていて、ある種の気持ち悪さがまた良いのです。そして、何より「人でなしの恋」のタイトル・・・わたしはこのタイトルが凄くいいと、思うんですよね。

江戸川乱歩作品のファンのかたも、そうでない方も、短編2本なのでお気軽にお楽しみいただけるのではないかと思います。

勿論、出演者なのでみなさまに観て楽しんでいただきたい気持ちしか御座いません。

週末は、ゆっくりどっぷり乱歩にはまってみても、いいのではないでしょうか?

ではまた映画の話をしましょうね。

オノユリでした。