キム・ビョンウ監督

Movie Multifunctional FILMANIA Radio 映画の話をしましょうよ

テロ, ライブ The Terror Live

コエボンラジオをお聴きのみなさんこんばんは。11月13日土曜日、女優オノユリの映画の話をしましょうよのお時間です。先週まで3週に渡って役者仲間をゲストにお迎えしこのコーナーをお送りしました。3週目にはなんとなく、それまで長い期間話しをしていなかったわたしたちの時間と距離が、数年前に共演したときとはまた違った距離感で埋まった気がしました。聴いてくれた方より、「いい話だったよ」とご連絡いただいた時は、本当に嬉しかったです。役者が、好きな映画の話を好きに話している内容だったので、それでも聴いてくださった方が一緒に楽しんでいただけたらこんなに最高なことはありません。ありがとうございます。 さて、本日はひさしぶりに1人でお話しますが、たまたま鑑賞した映画がとても面白くて、またゲストを迎える予定なのですが、その間にねじ込んでしまおうとおもうくらいに鑑賞してよかったなー!といった内容でしたので、お話したいと思います。 テロ, ライブ STORY 「チェイサー」「ベルリンファイル」のハ・ジョンウが、電話越しにテロリストとの息詰まる攻防を繰り広げるキャスターに扮したリアルタイム型サスペンス。 不祥事を起こし、テレビ局からラジオ局へ左遷された人気アナウンサーのユン・ヨンファは、ラジオ番組の生放送中、正体不明のリスナーからソウル市内の漢江(ハンガン)にかかる麻浦大橋(マポデキョ・マポ大橋)を爆破するという脅迫電話を受ける。いたずらだと思い電話を切ると、予告通りに麻浦大橋で爆発事件が発生。相手が本物のテロリストだと確信し、このスクープがテレビ局復帰へのチャンスになるとにらんだヨンファは、犯人との通話の独占生中継を始めるが……。 映画.com FILMANIA 映画の話をしましょうよ 本日お話するキム・ビョンウ監督「テロ、ライブ」。韓国映画は割と長いイメージが今まであったのですが、割と見やすい98分。そして、この98分が、オンタイムで感じられる作品となっております。2013年の作品ですが、この当時から韓国ではこのテンポ感で作品を作っていたの!?と感じ、今「半地下の家族」がアカデミー作品賞を受賞し、世界で評価が高い韓国映画と言えますが、流石のテンポの良さです。 少し古い映画ですが「Phonebooth(2003)」「LIMIT(2010)」のワンシチュエーションと言うか、狭いところに押し込められた息の詰まるシチュエーション映画の感覚が蘇ってきました。わかりますか?あの閉塞感映画!手をぐるぐる回したり伸びができないような場所に閉じ込められる映画!鑑賞しながら首がこりかたまっちゃう気がする作品たちです(笑)特に「LIMIT」は酷いですね。ちょっと「KILLBILL」にも似たシーンが出てきますが、棺桶に詰められて砂の下に埋められているシーンがほとんどですからね。 今作キム・ビョンウ監督「テロ、ライブ」は、そこ迄の閉塞感はありませんが、コロナ禍の今だからこそ浮かんだ言葉がありました。もはや隔離の、isolation film! 主人公ユン・ヨンファが動かないのはラジオ局、生放送中の番組。この方、もともと国民的なアナウンサーなだけあって、一度ジャーナリストスイッチが入ると、もう頭の回転が早い早い!電話で相手の声を聞きながらメモを取りつつ自分の考えをまとめていく彼の方法は、ものすごく身近で現実的に感じました。 あまりに自然すぎて、映画の中の大きなテーマもさらりと流し見してしまうところでしたが、主人公ユン・ヨンファがマポ大橋が爆破された直後からテレビへの復帰のことばかり考え始めます。これが自然に感じるというのは、それだけ現実というものが腐っているのかもしれない…と自分の胸に手を当てましたよ。わたくしオノユリは、「そんなおとなになっちゃだめなんだー!」(笑)でも、ちょっぴり自信がないなぁ…。しかし、人間というものは、わたしも含め勝手なものなのです。被害にあっている人間が自分の知り合いであれば、途端に100%悪役がはっきりします。テレビの中継にうつり、震えながら、祈りながら、マポ大橋の現状をリポートしているのが自分の元奥様であることに気づいた瞬間から、主人公の心が変わります。人心掌握のうまい映画です。もはや映画の主人公の心で、どうしたらマポ大橋と言う世界を救うヒーローとなれるのか??犯人の要求を聞くと、「大統領の謝罪」だといいます。ラジオ局の一室から出られないユン・ヨンファは、部屋の外の状況を周りのスタッフや警察とコミュニケーションを取りながら把握するけれど、大統領の様子はまったくわかりません。周りの人を信じて対応するけれど、自由の利かないユン・ヨンファは権力に対する力はなく、暴力に対する防御力もないのでした。 リアリティのある作品に手に汗握っていると、「えっ、こんなこと起きちゃう!?」の怒涛の展開。是非、目撃していただきたい事件です。キム・ビョンウ監督「テロ、ライブ」 では次に、衝撃を受けた作品のお話をしたいと思います。 暗数殺人 STORY […]